「The Best of Roxy Music」の商品紹介
音楽の世界を支配していたのがむさ苦しい長髪族とゴタクを並べてばかりのプログレ族だった1970年代初頭。そんな時代に登場したロキシー・ミュージックは、まるで別の惑星からやってきたかのように目立っていた。とてつもなく異質でものめずらしい存在だった彼らは、キッチュでアヴァンギャルドでありながら堂々たるポップであることによって当時のトレンドに強く抵抗したのである。ブライアン・フェリーが妖しく官能的なフロントマンなら、ブライアン・イーノは脱構築的な視点をもちこむ学識派で、彼らのやる音楽はクレイジーでセクシー、かつ知的だった。フェリーに冷遇されたことを不満に感じたイーノが1973年に脱退すると、ロキシーはまったく別のバンドになった。それまでのアート・ロック路線を捨て、上品で洗練されたポップ・ソウルを聴かせるようになり、より幅広いリスナー層を獲得したのだ。
ロキシーの再結成ツアー(イーノは不参加)にあわせてリリースされた魅力作『The Best of Roxy Music』には、このバンドの両方の姿が記録されている。ただし、初期ロキシーの常識破りのスピリットが本作にも受け継がれたらしく、通常と逆の順序でトラックが並べられている。すなわち、新しいものから古いものへという順序でだ。このため、「Avalon」と「More Than This」というナイトクラブ調の気だるい1980年代のヒット曲、それにジョン・レノンの「Jealous Guy」の素晴らしいカヴァーがオープニングを飾る。次に中期に逆行して「Dance Away」や「Love Is The Drug」といった珠玉のナンバーが登場し、クロージングに「Pyjamarama」と「Virginia Plain」というエネルギッシュでとんでもなくハイなバブルガム・ポップが置かれるということになった。まともとは思えない構成ではあるが、バンドというものが――そして才能というものが――残すことのできる最高の置きみやげとして見逃せない一品だ。(Ian Gittins, Amazon.co.uk)