私達の命の糧である食べ物の最も基本的な生産現場である、収穫・と蓄の現場を一切の解説も音楽も無しに長回しの撮影でたんたんと映し出すことによって、従来は感謝の祈りとともに行われた命をいただく「収穫」「と畜」の行為が、無機的・工業生産的なものに変質していることを強烈に印象づける映画である。とにかくショッキングだが誰もが見ておくべき映画である。映画は同時に工場化された「収穫」「と蓄」の現場で働く人たちが、「感謝の祈り」無しに餌を食べるような表情で食事をするさまを執拗に撮影する。それは同時に「食べ物」を「命の糧」として感謝をもっていただくことを忘れ、食卓の場を単なる「よくわからない仕組みで作られている製品の消費」の場と変質させてしまっている私たちの食事の姿でもある。熊本では地域の名士である竹熊宜孝先生が映画を見られて「この映画ばみないかんとよ」とそこら中に薦めて回ったために、映画館での上映期間がのびたといういわくつきの映画。なお映画の原題は「our daily bread」でありこの言葉で主イエス・キリストが教えて下さった主の祈り「Give us this day our daily bread.(私たちの日ごとの糧を今日もお与え下さい)」を思い浮かべないキリスト教徒はいないはず。